ロマン・ロランと生きる

フランスの作家ロマン・ロラン(1866~1944)に関する情報を発信するブログです。戦中・戦後の混乱期に幼年時代を過ごした人々の間では、ロランは必読書だったそうです。人生の師と仰ぐ人も少なくありません。現代の若者にはあまり読まれていないようですが、ロランと同じ精神の家系に属している人は少なからずいるはず。本ブログがロランの精神的兄弟たちを結び付ける場になれば幸いです。

講演会開催「ユニテと共同出生」 ― ロランとクローデル

ロマン・ロラン研究所(京都市左京区)は10月20日(土)、アンスティチュ・フランセ関西 稲畑ホールで講演会を開催する。テーマは「ユニテと共同出生」。ロマン・ロランの「ユニテ」と、ポール・クローデルの「共同出生」に焦点を当てながら、今年生誕1…

ロマン・ロラン自筆書簡【15】再婚報告

晩年の再婚 ~~~~~~~~~~ あなたにお知らせしたいことがあります。 驚かせてしまうでしょうが、私の再婚についてです ~~~~~~~~~~ フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。スイスのヴィルヌーヴで書かれたもので、1934年5月7…

講演会開催「ロマン・ロラン、20世紀におけるユゴー的作家」

ロマン・ロラン研究所(京都市左京区)は12月9日(土)、アンスティチュ・フランセ関西 稲畑ホールで講演会を開催する。講師は甲南大学教授のディディエ・シッシュ氏。「ロマン・ロラン、20世紀におけるユゴー的作家」をテーマに、ロランにおけるユゴー的…

ロマン・ロラン生誕150周年記念演奏会へのお誘い

ロマン・ロラン研究所(京都市左京区)は昨年、ロランの生誕150周年を記念する講演会等を実施した。関連イベントの掉尾を飾る演奏会を1月28日(土)14時から、金剛能楽堂で開催する。 演奏プログラムは、青年期のベートーヴェンの室内楽を中心に構成…

ロマン・ロラン自筆書簡【14】サン=プリ家⑥

政治との距離感 私の戦いは芸術の中にあるのです フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1921年7月29日付。1919年に没した愛弟子ジャン・ド・サン=プリの弟、ピエール・ド・サン=プリに宛てたもの。 【意訳】 妹からあなたのお手紙を…

ロラン生誕150周年記念事業

ロマン・ロラン研究所(京都市左京区)は、ロマン・ロラン生誕150周年記念事業の内容をまとめた。 記念朗読会 読み聴かせる『ジャン・クリストフ物語』 朗読家 村田まち子と会員たち 下郡由 山本和枝 中田裕子 西尾順子 宮本ヱイ子 日時 2016年10月…

ロマン・ロラン研究所が「ユニテ」43号を発行

ロマン・ロラン研究所(京都市左京区)は、会報誌「ユニテ」43号を発行した。京都大学・曽我部真裕教授による講演「戦後七〇年と憲法九条の意義」、甲南大学のディディエ・シッシュ教授による「『ヴェズレー日記(一九三八―一九四四)』をめぐる考察」のほ…

『ピエールとリュース』の感想文コンクール 原稿募集中

「魂に背く出版はしない」を社是に掲げ、2013年に設立した出版社の鉄筆は、ロランの小説『ピエールとリュース』(渡辺淳訳)の新版刊行を記念して、同書の感想文コンクールを開催、原稿を募集している。 優秀作品には鉄筆社特製の図書カードを進呈する(…

European Movement(スイス)が「戦いを超えて」に言及

国際組織「European Movement」スイス支部が、ブログでロランの論説「戦いを超えて」を紹介した。 第一次世界大戦当時、スイスにいたロランは、同地の新聞「ジュルナル・ド・ジュネーヴ」紙に戦争に反対する一連の論説を発表した。ブログでは1914年9月…

大英図書館がジャン・クリストフの草稿を公開

大英図書館がブログでロマン・ロランを取り上げている。 Playwright, peacemaker, polymath: Romain Rolland (1866-1944) ロランの生涯を簡単に振り返るとともに、ジャン・クリストフの冒頭に置かれた 「いずれの国の人たるを問わず、 苦しみ、闘い、ついに…

ロマン・ロラン自筆書簡【13】サン=プリ家⑤

痛みを分かつ あなたとともに 今は亡き人(ずっと心の中にいる)に 語りかけております フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1921年1月2日付。愛弟子ジャン・ド・サン=プリの母に宛てたもの。ジャンは1919年2月18日、スペイン風邪…

ロマン・ロラン自筆書簡【12】サン=プリ家④

友人の仲を取り持つ 人が孤立するのは 決して喜びからではありません。 誇りがあるから、 そうせざるを得ないから孤独になるのです フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1922年2月19日付。愛弟子ジャン・ド・サン=プリの弟であるピエール…

ロマン・ロラン自筆書簡【11】1911年2月13日付

ただ強くあること 芸術家は芸術のことばかり話していてはいけません。 彼の内面生活はそれで飽和してしまいます。 自分自身を更新するために、 自分の外に踏み出さなければならないのです。 フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1911年2月1…

1月30日 ロラン研究所が読書会

ロマン・ロラン研究所(京都)は1月29日のロラン誕生日を祝して、ロマン・ロランセミナー<読書会>を開催する。 日時:1月30日(土)午後2時~4時 会場:ロマン・ロラン研究所(京都市左京区銀閣寺前町32) テーマ:『ロマン・ロラン伝』 ヴェズ…

アンリ・マシス自筆書簡【1】

ロマン・ロランの敵手 R・ロラン氏のものを再読する必要もありましたが、 私にはその勇気がありませんでした フランスの評論家アンリ・マシス(1886~1970)の自筆書簡である。いつ・誰に宛てて書かれたものかは不明。具体的な事情は分からないが、…

ロマン・ロラン著『第九交響曲』自筆献辞入り

ベートーヴェンの「全書」 日常の苦しい闘いを強いられていた時、 ベートーヴェンはその交響曲という騎兵隊のなかで 私を鍛えてくれた隊長であった。 (みすず書房『ロマン・ロラン全集【25】』所収 「第九交響曲」蛯原徳夫・北沢方邦訳 P9) 本書はフラ…

ロマン・ロラン自筆書簡【10】ソ連とのつながり

人間共和の実現を夢見て コラはソビエト連邦で有名になりました。 フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1936年6月17日付。生まれ故郷クラムシー在住の編集者ヴィロワン・グレ(Viloin-Goulet)に宛てたもの。自らの小説『コラ・ブルニョン…

ロマン・ロラン自筆書簡【9】アリス・カンプマン宛

先輩作家としての助言 さあ息を吹きかけて、 炎をかき立ててください! ロマン・ロランの自筆書簡である。1928年11月9日付。エコール・ノルマル(高等師範学校)で共に学んだ旧友アンドレ・シュアレスの秘書アリス・カンプマンの自伝的小説『コンスタ…

アンドレ・シュアレス自筆書簡【1】アリス・カンプマン宛

厳しい作家の温かな批評 真実に目をふさぐことなく 人生を愛することは素晴らしいことです。 それが自分自身の情熱から発したものであり、 人生から流れ出る多くの残酷さや醜さを隠すことがなければ。 フランスの作家アンドレ・シュアレスの自筆書簡である。…

『異形の精神 アンドレ・スュアレス評伝』

少数に愛された孤高の詩人 ぼくは創造すること、書くことだけが願いなのだ (1888年 ロマン・ロラン宛の手紙 P61) 宇京賴三著『異形の精神 アンドレ・スュアレス評伝』岩波書店 20世紀前半のフランス文学・思想界で重要な役割を果たしながら、正当…

ロマン・ロランと自筆蒐集

ロマン・ロラン研究所の会報「ユニテ」(42号)に、拙稿を掲載していただいた。 拙稿 ロマン・ロランと自筆蒐集(PDF) ロランには敬愛する人物の自筆を集める趣味があった。ナポレオンの手紙やベートーヴェンの楽譜、ゲーテの水彩画、カントの草稿など…

ルネ・アルコス 自筆書簡

人類連帯の理想に燃えて いつも私を魅了してきた出版の世界、 そしてフランスのために成すべきことが多くあります。 平和が訪れたらお会いしましょう。 もし平和がいつの日かやってくれば、ですが。 フランスの詩人ルネ・アルコスの自筆書簡である。文芸誌「…

P・J・ジューヴ著『生きているロマン・ロラン』アルコス宛 献辞入り

偉大な友に捧げる讃歌 素晴らしい人生は、 生命の炎が燃え続ける限り学ぶことであり、 格闘するすべての魂や、 勇気・希望を鼓舞することである 本書はフランスの詩人ピエール・ジャン・ジューヴの評伝『生きているロマン・ロラン(Romain Rolland vivant 19…

ロマン・ロラン協会「ロマン・ロラン研究」第1号

時代の終わりとはじまり ロランは常に我々の先達であり、 魂の慰め手であり、激励する人であった (「編集後記」) 本誌はロマン・ロラン協会の会報「ロマン・ロラン研究」の第1号である。1951年11月に出た。 ロマン・ロラン協会は1951年、当時早…

日本・ロマン・ロランの友の会編「UNITE(ユニテ)」第1号

正視眼で自分自身を生きる どうでもよいようなものは何も書かない、 ということは芸術上の大切な法則のように思われます。 けれどもこの法則ほど守られていないものはありません。 …私は遊びをする人間になりたくはありませんが、 それ以上にお説教をする人…

日本・ロマン・ロランの友の会 会報 第1号

受け継がれる魂 「友の会」は たとえロマン・ロランと立場を異にする人といえども、 ロランを自分の大きさだけの範囲に限定しない人を、 ロランの精神のうちで自分の思想と一致しない部分を否定したり 抹殺したりしない人を、真の友として迎える。 これはロ…

蜷川譲編著『ロマン・ロラン讃歌』こぶし書房

人生の道づれへのオマージュ 「ロマン・ロランがなしとげた最高の偉業は 人と人とを、心と心を結びつけたことである」 (宮本正清の言葉 P233) 本書はロマン・ロラン協会にゆかりの21人が綴った、ロランへのオマージュである(目次はこちら)。人生を…

ロマン・ロラン自筆草稿【1】ベートーヴェン研究

内容と外観の美しい調和 真の創造は、たとい最悪の苦悩を 代価として贖(あがな)われようとも、 なお喜びにほかならないのだ (みすず書房『ロマン・ロラン全集【23】』所収 「ベートーヴェン 偉大な創造の時期 エロイカからアパッショナータまで」佐々木…

ロマン・ロラン タイプ原稿【1】 劇作について

衰えない創作の熱意 私はまだまだ無謀ですよ。 71歳になって、書きたい作品やアイデアが 10年、20年分もあるのですから。 フランスの作家ロマン・ロランのタイプ原稿である。1937年2月9日、ロランの自宅があったスイス・ヴィルヌーヴで書かれた…

ロマン・ロラン著『アグリゲンツムのエンペドクレス』1918年 初版本

戦乱を超えて輝く真実の星を示す われわれはみな「憎み」から自己を解放し―― 「悪からわれわれを解放し」(libera nos a malo)―― 平和を獲得するために闘わねばならない。 これは各人の、また万人の仕事でなければならない (宮本正清訳『ロマン・ロラン全…