ロマン・ロランと生きる

フランスの作家ロマン・ロラン(1866~1944)に関する情報を発信するブログです。戦中・戦後の混乱期に幼年時代を過ごした人々の間では、ロランは必読書だったそうです。人生の師と仰ぐ人も少なくありません。現代の若者にはあまり読まれていないようですが、ロランと同じ精神の家系に属している人は少なからずいるはず。本ブログがロランの精神的兄弟たちを結び付ける場になれば幸いです。

『写真集 ロマン・ロラン』みすず書房


未発表資料含む貴重な写真で生涯たどる

未亡人たちの涙よりは、
馬鹿ものの嘲笑を
背後から浴びるほうがましである
第一次大戦時・P96)


みすず書房ロマン・ロラン全集』(第二次・全35巻)の別巻として出版された『写真集 ロマン・ロラン』は、ロランの生涯を未発表の資料を含む約230枚の貴重な写真でたどった一冊である。写真とともに関連するロランの著作からの引用で構成され、写真が撮られた当時、ロランが何をどのように感じ、考えていたのか窺い知ることができる。ロラン未亡人のマリー夫人らが資料提供などに協力し、ロランの生誕100周年に当たる1966年に出版した。

「背後に70年という長い道のりを眺め渡す今や、
道中では意識していなかった明晰さをもって、
私は、この巡礼のあいだたえず私の案内者だった思想、
二重の思想を見るのである――

第1は、生きているすべてのものとの一致(コミュニオン)であり、
年齢や人種や国籍をこえた人類のユニテへの永続する深い感情である。

第2は、思想と行動との不可分性である。
……思想は大地の胎内から出てくる一つの河である。
けっしてその源はそれほど深くはないだろう。
しかし、ひとたび源から出るや、前進をつづける河は
……みずから道をきりひらいていかねばならない。
……行動しない思想はすべて堕胎であり裏切りである」
(1936年1月29日の日記・P179)