図録『ロマン・ロラン展』読売新聞社
〝欧州の良心〟の生涯をたどる
勇気をおもちなさい、
そして人類が更新されつつあり、
大きな任務が山ほどある
悲劇的な時代に生きていることを、
幸福としてください
(ある日本人宛のロランの手紙から P4)
『ロマン・ロラン展』は、〝欧州の良心〟と讃えられたフランスの作家ロマン・ロランの遺品を集めた展覧会の図録である。同展は1968年8~9月にかけて、東京・大阪・名古屋の松坂屋で開催された(主催=読売新聞社)。ロランの自筆原稿や手紙、代表作『ジャン・クリストフ』を書き上げた机、愛用のマントやペンなど遺品の数々を一堂に展示するとともに、ロランの未亡人マリー夫人が来日。日本ロマン・ロラン友の会が晩餐会を開くなど、盛大な催しとなったようである。
本書は展覧会に出品された品々を中心に、生い立ちから晩年までロランの生涯を写真でたどる内容となっている。折々のロランの言葉が多数引用され、巻末には関連年表も収録。多面的なロランの活動を俯瞰できる好資料である。
「私は人類の理想に忠実でありつづけた。たとい私個人が倒れても、この理想は再び立ち上がるであろう」(1940年当時のロランの言葉・P84)