ロマン・ロランと生きる

フランスの作家ロマン・ロラン(1866~1944)に関する情報を発信するブログです。戦中・戦後の混乱期に幼年時代を過ごした人々の間では、ロランは必読書だったそうです。人生の師と仰ぐ人も少なくありません。現代の若者にはあまり読まれていないようですが、ロランと同じ精神の家系に属している人は少なからずいるはず。本ブログがロランの精神的兄弟たちを結び付ける場になれば幸いです。

マルヴィーダ・フォン・マイゼンブーク自筆書簡【2】


青年との共闘

お金の持つ巨大な力や人間の金欲が、
一方では富裕層などの良心を腐敗させ、
他方では貧困層などを自暴自棄や犯罪へ駆り立てています。
ここイタリアが、その惨憺たる例です。
戦いましょう! 私はそう長くはお役に立てないでしょう。
しかし、どうかあなたは勇敢な戦士でいてください。
それこそが、私が何より新しい年に望むことです!


ドイツの女流作家マルヴィーダ・フォン・マイゼンブークの自筆書簡である。1894年12月31日にローマで書かれたもので、作家ヒューゴー・アストゥル・レオンハルト(Hugo Astl-Leonhard:1870~1900)宛。19世紀を生き抜いた78歳の老作家が、20世紀を担うべき24歳の青年作家に大きな期待を寄せている。

「あなたの雑誌を
真の現実主義である理想主義の旗手にすることができたら、
どんなに嬉しいことでしょう。というのも、
今日の現実主義者たちが真の現実だと考えているものの多くが、
実際はそうではないのですから」

「完全な真理をもってすれば、
臆病な精神の持ち主も力を得て、
群衆の中から突然、味方になるような
思いがけない出来事が少なからず起きるものです」

「あなたからの手紙の後半部分については、
よくぞ書いてくれたと言わざるを得ません。
女性であることを理由に加えられた恐ろしい辱めは、
私のこれまでの人生における最も辛い経験の一つです。
何年も前から人知れず、力のおよぶ限り、
精一杯抵抗してきたことでもあります。
あなたが望むなら、私の考えを記した原稿をお送りしましょう」

「購読者については、
ウィーンの知り合いにもたくさん声をかけました。
マドリッドからも購読希望が届くと思います。
さあ、新年に幸運を祈りましょう」