ロマン・ロランと生きる

フランスの作家ロマン・ロラン(1866~1944)に関する情報を発信するブログです。戦中・戦後の混乱期に幼年時代を過ごした人々の間では、ロランは必読書だったそうです。人生の師と仰ぐ人も少なくありません。現代の若者にはあまり読まれていないようですが、ロランと同じ精神の家系に属している人は少なからずいるはず。本ブログがロランの精神的兄弟たちを結び付ける場になれば幸いです。

#ノンフィクション、エッセイ

ロマン・ロラン著『愛と死との戯れ』校正刷り

成熟に20年を要した傑作戯曲 生命の力は死の力より強い (片山敏彦訳『ロマン・ロラン全集【10】』所収 「愛と死との戯れ」みすず書房 P352) ロマン・ロランの戯曲『愛と死との戯れ』の校正刷りである。1925年に出たサブリエ版の校正刷りで、「…

『写真集 ロマン・ロラン』みすず書房

未発表資料含む貴重な写真で生涯たどる 未亡人たちの涙よりは、 馬鹿ものの嘲笑を 背後から浴びるほうがましである (第一次大戦時・P96) みすず書房『ロマン・ロラン全集』(第二次・全35巻)の別巻として出版された『写真集 ロマン・ロラン』は、ロ…

図録『ロマン・ロラン展』読売新聞社

〝欧州の良心〟の生涯をたどる 勇気をおもちなさい、 そして人類が更新されつつあり、 大きな任務が山ほどある 悲劇的な時代に生きていることを、 幸福としてください (ある日本人宛のロランの手紙から P4) 『ロマン・ロラン展』は、〝欧州の良心〟と讃…

ロマン・ロラン イストラティ 自筆葉書

友情の果て R・Rはぼくにとって小事件ではなかった フランスの作家ロマン・ロランと、ロランに見いだされたルーマニア生まれの仏語作家パナイト・イストラティの自筆である。1926年4月24日付で、イストラティの妻アンナに宛てたもの。当時ロランが…

『ロマン・ロラン選文集』イストラティ宛・自筆献辞

父親のような愛情 世界をあるがままに見て 愛そうとしている(なかなかうまくいかないが!) ひとりの男へ 友情をこめて 1921年にオランドルフ社から出た『ロマン・ロラン選文集』の第1巻である。ロランが才能を見いだし、世に送り出した作家パナイト・…

ロマン・ロラン『先駆者たち』1919年 初版本

ユニテに導く未来の書 この世界が苦しんでいる最悪の不幸は、 わたしが繰り返し繰り返し言ったように、 邪悪な人々の力ではなく、 最良の人々の弱さなのである(中略) もう自分自身で考えるべきではない、 ひっぱって行ってもらおう……。 この放棄こそ、すべ…

ロマン・ロラン著『戦いを超えて』自筆献辞

憎しみを超えて人間性救う 私は一年このかた非常に多くの敵を見出した。 私は彼らに次のことを言いたい―― 彼らは私を憎むことはできようが、 私に憎しみを教えることはできないであろう。 私は彼らに用はない。私の務めは、 私が正しく人間的(ユマン)だと…

ロマン・ロラン 自筆 戦時の日記

孤独な作家を支えた声 自己の確信と人間的な友愛への理想とに 忠実であり続けている労働者の間で、 あなたの言葉が深い反響を呼び覚ましたことを断言します。 フランスの作家ロマン・ロランが第1次大戦中に書き記していた「戦時の日記」の一葉である。ロラ…

ロマン・ロラン自筆書簡【8】結婚前夜

初めての結婚と離婚 私は芸術への意欲を持っています(中略) どうかこの芸術への意欲を 打毀(うちこわ)さないように、 むしろそれを仕遂げるために 私に力を借して下さるようにお願い致します (加藤行立訳「ロマン・ロラン研究【31】」ロマン・ロラン…

ロマン・ロラン自筆書簡【7】戦いを超えて

戦いの記録 私のフランスの友人の一人が、 小冊子「戦いを超えて」の発行に 力を尽くしてくれています。 フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。1915年1月6日付。国際赤十字の便箋に書かれている。 1914年7月、第一次世界大戦が勃発。ス…

ロマン・ロラン自筆書簡【6】サン=プリ家③

ジャンを偲んで 私にとっては1年に1度の つらい日がまた来てしまうという気持ちです。 フランスの作家ロマン・ロランが、22歳で亡くなった愛弟子ジャン・ド・サン=プリの母親に宛てた自筆書簡である。ジャンの死から1年後の1920年2月17日付。ま…

ロマン・ロラン自筆書簡【5】サン=プリ家②

愛弟子に捧ぐ 私たちのジャンは、 すべての卑俗なものを超えています フランスの作家ロマン・ロランの自筆書簡である。彼の愛弟子で夭逝したジャン・ド・サン=プリの書簡集にロランが序文を書くかどうかについて、ジャンの弟ピエールとやり取りしている。 …

ロマン・ロラン自筆書簡【4】サン=プリ家①

愛弟子との出会いと別れ ジャンへの愛情はこれ以後、 わたしたちにとって絆です! わたしはわたしの内面生活において 親愛なかわいい道づれに場所を保つでしょう。 フランスの作家ロマン・ロランが唯一、自らの「愛弟子」と呼んだ人にジャン・ド・サン=プリ…

ロマン・ロラン自筆書簡【3】

人類の未来への危惧 政治的にも社会的にも、 本当の世界の歴史とは 人類の進化の歴史なのです 1925年4月22日に書かれたロマン・ロラン自筆の手紙である。歴史家のマルセル・ベカス※に宛てたもので発信地はスイスのヴィルヌーヴ。ベカスがロランに送っ…

ロマン・ロラン自筆書簡【2】

生涯にわたる青年期の体験 ローマの影響は 私の全作品におよんでいる 1925年7月1日、某氏宛に書かれたロマン・ロラン自筆の手紙である。ロランは1889~1891年までイタリア・ローマに留学したが、その際に啓発を受けて書かれた論文等のリストを…

ロマン・ロラン自筆書簡【1】

若きジャーナリストへの手紙 私の行動と作品こそ 非難に対する唯一の答えだ 1930年4月22日に書かれたロマン・ロラン自筆の手紙である。若きジャーナリスト Georges Altman に宛てたもの。 「私は15年前から、 辛辣に批判されようと知らん顔をするこ…

アンドレ・モロワ自筆原稿【2】ロマン・ロランの手紙②

高貴で悲劇的な友情 ルイ・ジレとロマン・ロランの往復書簡は、 2人の偉大な人物と偉大な心情との素晴らしい物語だ。 それは友愛と人間性の教えとなり、希望となるだろう。 フランスの作家アンドレ・モロワの自筆原稿である。カイエ・ロマン・ロランの第2…

アンドレ・モロワ自筆原稿【1】「ロマン・ロランの手紙」

書簡集の面白さ 年齢を重ね、読書に励むにつれ、 往復書簡や回想録をより好むようになってきた。 偉大な作家でさえ、 自身の内面を書き記すことに成功した小説を 多くは残していないからだ。 ロマン・ロランのこれらの手紙が 『ジャン=クリストフ』に優ると…

マルヴィーダ・フォン・マイゼンブーク自筆書簡【1】

慈愛に満ちた励まし あなたなら確固たる意志と力で、 この雑誌の精神的な意義を高めてくれることでしょう。 現代の論壇にはびこるどうしようもない現実主義との戦いにおいて、 私たちを勝利へ導く強靭な武器になってくれると信じています。 ドイツの女流作家…

シュライヘア著/片山敏彦訳『マルヴィーダ・フォン・マイゼンブーク』みすず書房

賢者の魂を宿した女性の生涯 マルヴィーダは最も広い意味で深く宗教的な性質の人であった。 自然の美しさと、最も純粋な、最高の成果における芸術と、 愛や友情からのいろいろな啓示は彼女の心を敬虔にした。 彼女の晩年の日記に次のようなことばを私たちは…

ロマン・ロラン著 『ベートーヴェンの生涯』

生きる勇気が湧いてくる一冊 彼は自己に課せられていると感じた義務について しばしば語っている、それは自己の芸術を通じて 「不幸な人類のため」「未来の人類のため」に働き、 人類に善行をいたし、人類に勇気を鼓舞し、 その眠りを揺り覚まし、その卑怯さ…

『ロマン・ロラン全集【41】書簡9 精神の独立』みすず書房

師弟の薫陶 きみはけっして苦しみに事欠かないだろう! 一年の最初の数ヵ月は冬のうちもっとも厳しい。 しかし春はすぐそこにある。 きみは春をわがものとするだろう! (ロラン 1934年11月23日付 P298) みすず書房『ロマン・ロラン全集』の第…

『ロマン・ロラン全集【19】エセーⅡ』みすず書房

政治と芸術のエセー 人生は進歩のための、 前進のための絶えざる闘いです(P68) みすず書房『ロマン・ロラン全集』の第19巻はエセーⅡとして、政治論Ⅱ(1935~1944)と芸術論(1891~1940)を収める。具体的な収録内容は次の通り。 【…

『ロマン・ロラン全集【26】日記Ⅰ』みすず書房

若き日の日記と記録 自分がもはや誰かの生徒でなくなり、 他人の思想ではもはや満足できず、 自由に、完全に自己であろうと欲するときには、 理解されなくても不平を言ってはならない(中略) 行動したまえ、君の内部にまどろんでいる世界を実現したまえ。 …